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飲食店でのクレーム対応。まず、言い分を聞くことからはじめる

飲食店でクレームをゼロにすることは難しいことです。

感情的に怒る方も多く、最終的に納得して帰っていただくのは至難の業。

中には、勘違いや誤解があるにも関わらず、それを伝えたがために、さらに感情的なクレームになってしまう場合もあります。

今回は飲食店がやるべきクレーム対応について話を進めていきます。
 

誰もが理不尽なクレームを経験している

誰もが理不尽なクレームを経験している

飲食店店長の集まりでしばしば会話になるクレーム対応。

店舗経験が数年もあれば、悪質なクレーム対応は誰でも経験していると言っても過言ではありません。

筆者の経験では、月に1回程度、夕方になると必ず現れるクレーム中年(男性)がいました。

高校生や大学生の女の子のバイトがレジをやっていると入店し、釣り銭が10円違うと言って泣くまでドヤしつけのです。

当然、その釣り銭の渡し間違いすら嘘であることに、後で気付きました。

その男性が入ってくると私がレジに入るのですが、それでも何だかんだと女の子を指名して文句を言うので、最終的に出入り禁止にしたことがあります。

 

また、子供が厨房にまで入り込み、仕込んだ野菜を厨房にばらまいたことがあります。

それを親に注意しに行くと、「子供はそういうものでしょ」と言われました。

あまりに腹が立ち、「それはどうなんでしょう?」と言い返してしまい、最終的に、「うちの旦那はこの辺りでは有名だから、こんな店つぶしてやる!」と絶叫されました(もちろん、つぶれていませんが)。

他にも、「財布の中にお金が入っていないのはお前のせいだ」と言われたこともあります。

お客さんのとこに導火線があるのかわかりませんよね。

クレームは、もちろん店側が悪くて起こってしまうこともありますが、時には理不尽に発生し、なぜか大きくなってしまうことがあります。

これらを完全に防ぐことはできませんが、ある程度、初期対応を間違えないことで、大きなクレームに発展するのを防ぐことができます。

上記のクレームも、今であればうまく対応できたように思います。

 

クレーム対応の基本は相手の言い分を聞くこと

クレーム対応の基本は相手の言い分を聞くこと

ではクレームが起こった時、どのように対応すればいいのでしょうか。

さまざまな書籍も出ていますが、飲食店で最も重要なのは以下の1点。

たとえお客の主張が間違っていたとしても、まずは言い分を全て聞くということです。

 

理由はどうあれ、お客は腹を立てているわけで、それを一旦吐き出させなければ何を言っても聞いてもらえません。

店側としては納得できないことも多くありますが、聞くということと、ミスを認めるということはイコールではありません。

お客が勘違いしていると伝える場合でも、まずは一旦話を聞き、感情論に持ち込まないことが大切です。

言いたいことを一通りいえば、多くの人は落ち着きを取り戻し、話を聞いてくれるようになります。事情説明や謝罪はそれから。

「親身になって聞いてくれた」と、クレームが信用につながることもあります。

 

また、お客の怒りが静まりそうにない場合、場所を変えることも有効です。

他のお客から見えないところに移動することをまずは提案しましょう。それだけで落ち着く人もいます。

ただし、事務所など誰もいないところに移動してはいけません。

それでは悪質クレーマーの思うツボ。裏方に連れて行けったことで、「南京された」などとさらに無茶を言い出しますので、注意が必要です。

 

正論が正しいとは限らないのがクレーム処理の難しいところ

正論が正しいとは限らないのがクレーム処理の難しいところ

クレーム処理にあたっては、正論が正しいとは限りません。

店側としては、間違ったことをしていないにも関わらずクレームになることがあり、

それを正したい気分になるのは分かります。

しかし、正論をぶつけ、それが認められたとしても、そのお客がもう一度店に来ることはありません。

それに加え、そのやりとり聞いている周りのお客も不快な思いをし、やはり店から遠のいてしまいます。

それであれば、多少おかしい主張をする客でも、それを聞き入れ、スマートな大人の対応をすれば、周りにいる客は「あの人の言っていることへんよね」とフォローしてくれることもあります。そして店に好意を持ってくれるのです。

 

また、事実確認のために、必要以上にお客を待たせるのもよくありません。

例えば、テイクアウト商品で、その場で詳細な事情を把握できないこともあります。

そのような場合、誰がどうやって起こったミスなのかなどの現状把握は後回し。ミスをされた上に待たされたのでは、お客の怒りが爆発してしまいますので、

まずは事実だけを聞き取り、丁寧にお詫びをし、解決策に時間がかかりそうな時は、担当者から折り返し連絡させるようにします。

 

簡単に謝ってはいけない食中毒クレーム

簡単に謝ってはいけない食中毒クレーム

飲食店では謝ってはいけないと言われているクレームがあります。

それが食中毒です。「店で食事をしたらお腹が痛くなった」というクレームに対し、「申し訳ございません」とすぐに謝罪してしまうと、「やっぱり店に怪しい部分があるんだ」と思われてしまうのです。

 

そもそもお客は、自分や身近な人が作ったものを疑うよりも、赤の他人である店が作ったものの方が信用できないと考える傾向にあります。

それゆえ、店は優先的に疑われやすく、中には、「保健所に言いますよ」と脅しのように言ってくる人もいます。

これに驚いて平謝りし、「治療費は全額負担するので保健所には言わないでほしい」などと言ってしまう飲食店もありますが、これでは悪評が立つばかりで意味はありません。

とはいえ、「うちじゃないですよ」と主張するのも変なもの。少なくともお客が自分の店のお客であることは事実なのですから、出来る限りのことをしながら問題解決にあたります。

 

食中毒クレームが出た場合、どうするべきか?

ある飲食チェーンでは、食中毒クレームの連絡が入ったら、「では、すぐに病院に行きましょう。ご一緒します!」と提案するよう指導しています。

お客の身体を第一に気遣いながら、その原因が体調不良からくる食あたりなのか、アレルギー性のものなのか、食中毒なのかを、第三者である医者に明確にしてもらうためです。

 

その上で、食中毒の疑いがある場合、「保健所に調べてもらいましょう」と自ら提案します。

保健所に通報したからといって100%調査されるわけではありませんので、原因はわからないままということが多いようです。

しかし、この行動が、「店の衛生管理は徹底されているので自信を持って調べてもらっていい」という態度を示したことになり、お客の疑いは消えるそうです。

個人店ではなかなか難しいことかもしれませんが、それぐらいの自信を持って飲食店をやることが重要だということです。

 

まとめ

時として理不尽なクレーム。近年では、カスハラ(カスタマーハラスメント)と言われる、行き過ぎたクレームも多くなっていますが、基本的な初期対応ができれば、ある程度は防げるとも言われています。

まずは相手の立場を理解すること。その上で謝罪し、最後は納得して終わること。これがクレームの基本になります。

なかなか心穏やかにクレーム対応できる人はいないのかもしれませんが、自分をぐっと抑えて冷静な対応を心がけてください。

この記事の執筆者
CAROT運営事務局

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