飲食店がキャッシュレス化で導入すべき決済方法を紹介
飲食店を経営していると、キャッシュレス化は悩みがちなポイントだと思います。
キャッシュレスに対応していないお店の店長さんや経営者の方は、以下のようなポイントで悩んだことはありませんか?
- キャッシュレス決済ってどんな種類があるの?
- キャッシュレス決済って何を導入したらいいの?
- キャッシュレス決済ってどれくらいの費用がかかるの?
筆者は飲食店のコンサルを行うなかで、飲食店の経営者の方からキャッシュレス決済の相談をされることが多いです。
そんな相談に応えるために、キャッシュレス決済について調べました。
ここでは調べたことを元に、飲食店のキャッシュレス決済について解説します。
Contents
キャッシュレス化とは?
「キャッシュレス化」「キャッシュレス決済」という言葉が、メディアで取り上げられることが多いですが、まず「キャッシュレス」という言葉の意味を解説しておきます。
「キャッシュレス」とは、「物理的な現金(紙幣・硬貨等)ではなく、デジタル化された価値の移転を通じて活動できる状態(=キャッシュレス)」の決済手段のことです
(『キャッシュレス・ロードマップ 2019 – 一般社団法人キャッシュレス推進協議会』参考)。
キャッシュレス決済の方法としては、クレジットカード・キャリア決済・デビットカード・電子マネー・プリペイドカード・QRコード決済・仮想通貨などがあります。
これらのキャッシュレス決済は、現金を持ち運ばなくていいし、会計が早く済むということからも飲食店で利用する人が増えてきています。
キャッシュレス化の現状
日本のキャッシュレス化の現状はどうなっているのでしょうか?
日本においてキャッシュレス化がどのような状況なのか、キャッシュレス化に対して国がどのように考えているのか、世界各国では状態なのかを知ることで、今後どうなるのかがわかってきます。
経済産業省のデータによると、2016年の世界のキャッシュレス化率は以下のようになっています。
韓国 | 96.40% |
イギリス | 68.70% |
オーストラリア | 59.10% |
シンガポール | 58.80% |
カナダ | 56.40% |
スウェーデン | 51.50% |
アメリカ | 46.00% |
フランス | 40.00% |
インド | 35.10% |
日本 | 19.80% |
ドイツ | 15.60% |
参考:『経済産業省データ:キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識』
韓国は96.4%とかなり高く、アメリカも46.0%となっていますが、日本は19.8%(2017年には21.3%)とかなり低いです。
ただし、2020年に東京オリンピックがあることや、日本政府が2025年までにキャッシュレス化比率を世界標準の40%まで上げることを目指して、キャッシュレス化を進めていることから、今後キャッシュレス化は大きく進むと考えられます。
キャッシュレス化の展望
現に、この記事を書いている2020年3月の時点で、
『キャッシュレス決済、想定上回るペースで拡大−経済対策で普及に弾み – Bloomberg』のような記事が出ています。
2019年10月に導入したキャッシュレス決済のポイント還元制度の利用が、想定を上回るペースで拡大しているとのこと。
ポイント還元事業への登録加盟店数が、「中小の製造、卸・小売り、サービス業の200万店の約4割超」である86万店に達する見込みなのです。
このなかでも特に飲食店は多くの店舗が登録していると考えられます。
国が2798億円の予算を投じ、多くの店舗がキャッシュレス化に対応しており、それによってキャッシュレス化は進んでいくと予想できます。
また、QRコード決済のPaypayは2019年11月の時点で登録ユーザー数が2,000万人を超えていますし、今後もキャッシュレス決済が拡大していくことは間違いないといえるでしょう。
だからこそ、飲食店でまだキャッシュレス化に対応していない場合には、このタイミングでキャッシュレス化をしておくべきです。
キャッシュレス決済の種類
キャッシュレス化をする場合には、どのような選択肢があるのでしょうか?
飲食店で利用されるキャッシュレス決済は、以下の種類に分類することができます。
- 電子マネー
- デビットカード
- クレジットカード
各キャッシュレス決済方法について解説します。
電子マネー
電子マネーとは、その名の通り「電子データ化されたお金」のこと。
現金を電子データ化し、カードやスマートフォンから支払いを行えます。
かざすだけで支払いができるのは便利ですし、電子マネーは審査が不要ですので、利用者はクレジットカードよりも簡単に利用できます。
電子マネーは、以下の4つに分類されます。
- 交通系ICカード:Suica、PASMOなど
- 流通系ICカード:nanaco、WAON、楽天Edyなど
- ポストペイ型(自動チャージ):iD、Quick Payなど
- QRコード・バーコード決済:PayPay、Line Pay、d払いなど
その他の決済サービスよりも手数料が安いことからも、飲食店でもこれらの電子マネーが使えるお店が増えてきています。
デビットカード
デビットカードとは、クレジットカードと提携している銀行が発行しているカードです。
デビットカードは、クレジットカードのようにクレジット会社が立て替えるのではなく、銀行口座から即座に引き落とされるのが特徴。
クレジットカードよりも手数料が安いですが、利用者はクレジットカードよりも少ないです。
飲食店でも、利用される頻度はクレジットカードより少ないでしょう。ただし、中国人が多く利用している「銀聯カード」はデビットカードです。
中国人のお客様が多いお店は、銀聯カードの対応をするのがおすすめです。
クレジットカード
クレジットカードは、説明する必要もないと思いますが、クレジットカード会社が利用者の支払いを立て替える方法です。
『キャッシュレス・ロードマップ 2019』によると、キャッシュレス支払額のうち約90%をクレジットカードが占めています。
飲食店でもクレジット支払いの需要は高く、多くのお店が導入しています。
ただ、手数料が高いことと、支払い回数が少ないという特徴があるので、飲食店が導入するかは検討が必要です。
キャッシュレス決済の導入方法は?
キャッシュレス化をするには、決済代行会社と契約をする必要があり、代行会社に支払い代金の数%を手数料として支払うことになります。
また、クレジットカードやデビットカードのためのカードリーダー、ICカードを読み取る読み取り機、QRコード・バーコード決済を行うためのレジやスマホやタブレット機器を導入するための費用が必要になります。
決済代行会社は、1社で複数の支払い方法に対応していますし、これらの機器のなかでは、複数の決済方法に対応している「マルチリーダー端末」もあります。
例えば、クレジットカードと電子マネーの両方を読み取れるような機器などです。
飲食店がキャッシュレスを導入する時に必要な設備としては、「カードリーダー」もしくは「スマートフォン・タブレット」の2種類です。
カードリーダー
レジでクレジットカードやデビットカード、ICカード、iDやクイックペイなどの電子マネーを利用できるようにするには、専用のカードリーダーが必要になります。
このカードリーダーは色々な会社が出しています。
クレジットカードは大体が対応していますが、それぞれで使用できるものが異なります。
iDは使えるけれどもクイックペイは利用できなかったり、Edyは使えるけれどもWAONは使えないという風にです。
店舗の客層によって、どの電子マネーに対応している端末を選ぶかを決めましょう。
スマートフォンやタブレット
現在では、レジがなくてもスマートフォンやタブレットを利用して、クレジット決済や電子マネーでの決済ができるサービスがあります。
決済端末は無料で使うことができるので、初期の導入費用を抑えることができます。
こういったサービスとしては、Square、Coiney、楽天Payなどが有名です。
これらはクレジット決済だけでなく、一般的な電子マネーにも対応しているものが多いです。
スマートフォンやタブレットがあれば利用できるので、個人経営の飲食店におすすめのキャッシュレス決済方法です。
設備必要なし
また、PayPayやメルペイなどのQRコード決済であれば、初期に必要な設備はありません。
お店はQRコードを作成して、支払いの時にスマホでQRコードを読み取ってもらうことで支払いができます。
また、すでにレジがある店舗でしたら、お客様のスマートフォンからバーコードを読み込めば支払いが完了します。
キャッシュレス決済のコスト
これらのキャッシュレス決済を飲食店が導入する時には、コストが重要なポイントとなります。
飲食店は原価率が高いこともあって、いくら売上を上げてもコストが多くかかってしまうと、利益が得られなくなってしまいますよね。
キャッシュレス化する時にはしっかりと利益への影響を考えましょう。
キャッシュレス決済を行うコストとしては、導入費用と手数料がかかります。
下記に飲食店のキャッシュレス決済にかかるコストをまとめしました。
カードリーダー型のコスト
レジのカードリーダーを設置した場合には、決済機関の審査や決済システムの構築などで初期導入費用がかかります。
クレジットカード会社や決済代行会社によって異なりますが、大体導入費として6〜10万円くらいかかることが多いようです。
ただ、無料でカードリーダーを提供している会社もありますので、調べてみるのがよいでしょう。月額手数料が必要な会社もあります。
カードリーダー型では、導入費用とは別で手数料がかかります。
これも、決済代行会社それぞれで割合が変わってきます。クレジットカード決済は3%前半〜4%程度で、電子マネーの決済は3%程度の会社が多いです。
スマホ・タブレットのコスト
スマホやタブレットを利用した決済サービスは、初期導入費用がかからない会社が多いです。
ただ、スマホやタブレットを用意する必要があります。
ただし、手数料はレジの決済とあまり変わらないですし、支払い方法によっては高いものもあります。
例えば、AirペイだとVISAやMasterCardは3.24%であり、スクエアでは3.25%です。電子マネーの支払い方法では、カードリーダー型の方が安い会社もあります。
QRコード・バーコード決済のコスト
QRコード・バーコード決済の場合も、導入費用はかかりません。手数料も他の決済方法よりもかなり低いのが特徴です。
LINE PayやPayPayでは、ユーザーが読み取る支払いのみ対象で、2021年9月30日まで手数料が無料となっています。
他には、merpayは1.5%、楽天ペイは3.24%です。さらに振込手数料も無料のサービスが多いです。
飲食店がキャッシュレス化する時にまず利用すべきなのは、このQRコード決済といえるでしょう。
飲食店が導入すべきキャッシュレス決済とは?
飲食店がキャッシュレス化を行う時には、どの決済サービスを利用するのがよいでしょうか?
もちろん全てに対応できればお客様としては便利ですが、コストを考えると全てを導入することは難しいと思います。
ここでは、お店ごとにどの決済方法を優先的に選ぶべきかを考えてみました。
個人経営ならQRコード決済
個人経営のお店では、チェーン店のような多店舗によるメリットがないので、どうしても利益が低くなりがちです。
そんな中でクレジットカード決済の手数料で4%取られたり、月額料金を支払うのは厳しいでしょう。
電子マネーのなかでも、カード型の決済やポストペイ型は導入コストがかかります。
だからこそ、どう縫うすべきは抑えられるQRコード・バーコード決済でしょう。
QRコード決済を導入することで、費用を抑えながらもキャッシュレス化を行うことができます。
年齢層が高いならクレジットカード決済
キャッシュレス支払いのなかでも、依然として利用率が高いクレジットカード決済は、店舗が導入しておくべき方法です。
ただし、コストがかかるので、利用率が高い店舗が導入するのがおすすめ。
「飲食店」でのカード利用は男性60代が多いという統計がありますので、顧客の年齢層が高いようなお店が優先的に導入しましょう。
年齢層が低いなら電子マネー
20代ではクレジットカードと現金の支払いの割合が高いです。
そして、同じデータを見ると、他の世代と比べるとQRコード決済での支払いも多いです。
そして30〜40代は、電子マネーが多い傾向にあります。これらの若い年齢層が多いお店では、電子マネーやQR決済を利用できるようにするのがよいでしょう。
ただし、「現金のみ利用」が最も多いのは20代女性というデータもありますので、キャッシュを準備しておくのも大事です。
まとめ
飲食店がキャッシュレス化をする時に知っておくべき、キャッシュレス化の現状、今後キャッシュレスがどうなるのか、キャッシュレス決済の種類・導入方法・コストを解説しました。
これらを踏まえて、自分のお店がどのようなキャッシュレス決済を導入すべきかを考えてみてください。
これからキャッシュレスはどんどん推進されていきますし、国が還元なども行いますので、飲食店は情報をチェックしてキャッシュレスの波に乗りましょう!
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