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仲卸業者はいらない?仲卸業者の役割とおすすめ仲卸業者を紹介!

飲食店で食材を仕入れるには、様々な方法があります。その方法としては卸業者、通販、生産者、業務用専門スーパー、市場などがあります。

近年ではインターネットの普及もあって、生産者と飲食店が直接取引をすることも増えてきました。それにつれて、「仲卸業者はいらない」という声もよく聞かれるようになりました。

しかし、本当に仲卸業者は不要なのでしょうか?メリットはないのでしょうか?

ここでは、飲食店の支援をしていることで仲卸業者についても詳しいCAROTが、仲卸業者の仕組みやメリット・デメリット、仲卸業者の使い方を解説します。

仲卸業者とは?

仲卸業者とはどのような仕事なのか、どんな種類や役割があるのか、どれくらいの市場があるのかなどを解説します。

まず、仲卸業者とはどのような仕事なのか、どんな種類や役割があるのか、どれくらいの市場があるのかなどを解説します。

仲卸業者の意味

Wikipediaにおいて「仲卸」とは、以下のように解説されています

仲卸(なかおろし)は、青果物、水産物、食肉、花きの卸売市場内で、卸売業者と小売業者を仲介する業者のこと。

卸売業者から仕入れた商品を、市場内での売買参加権のない買付人(小売業者など)向けに小分けして販売する。

つまり、市場において卸売業者から商品を仕入れ、小売業者に販売する業者のことなのです。卸業者と小売業者の「仲」を取り持つことから、「仲卸業者」と呼ばれます。

仲卸業者の役割

卸業者から仕入れて小売業者に販売するという単純な役割以外にも、市場において仲卸業者は様々な役割を果たしています。

仲卸業者には、以下の役割があります。

  1. 集荷
  2. 分荷
  3. 価格決定
  4. 決済

それぞれを詳しく説明していきます。

集荷

仲卸業者には、「集荷」という機能があります。これは、天候や災害などに影響されやすい食物を、安定的に供給することです。どんなときにも、全国の産地に働きかけ、安定的に需要を満たすのです。

また、市場のトレンドに合わせて、供給量を増やしたり減らしたりする役割もあります。

需要と供給のバランスを取りながら、消費者に商品を安定的に届けるのです。

分荷

「分荷」は、仲卸業者のもっとも大きな役割です。「分荷」とは、一度市場に集まった食物を買い付けにきた小売業者に分けることをいいます。

卸業者は各産地から大量に商品を市場に集めます。大きなロットで運んだ方が輸送費が抑えられるからです。卸業者は市場でそれらの食物を販売をしますが、大きなロットでしか販売をしません。小ロットで販売するのはコストがかかりますし、利益が得にくいからです。

そこで仲卸の出番です。仲卸は卸業者から大きなロットで購入し、それらを小分けにして小売業者に売ります。卸業者は小分けにする手間がかかりませんし、卸業者は信頼できる業者から、品質のよいもの必要な量だけ購入することができます。

価格決定

仲卸には、市場のトレンドや需要をもとに価格を決定する機能があります。

仲卸は、競りや卸業者から仕入れた商品を適正な価格に値付けをして、小売店に販売します。競りでは最も高い金額を付けた仲卸業者が購入し、小売店に販売します。つまり価格を仲卸業者が決めているということになるのです。

この価格設定が間違っていると小売り業者に売れないですし、売れたとしても小売業者が販売することができません。

商品が円滑に市場で流通するように、市場の相場価格を作るのも仲卸業者の役割になります。

決済

小売り業者は、仲卸業者から購入する際には都度支払いではなく、月ごとに支払いをまとめることができます。小売り業者は、決済の手間を大きく抑えることができるのです。

卸業者は仲卸業者に大量の商品を確実に売ることができ、短期間で代金を回収できます。

また、生産者は卸売市場に委託すれば、大量の商品を相場で売れて、3日程度で代金を回収できます。このように、決済面に関して、仲卸業者には大きな役割があるのです。

仲卸業者の数は?

では、仲卸業者はどれくらいあるのでしょうか?また、どこに行けば仲卸業者から商品を購入できるのでしょうか?

以下は、東京中央卸売市場の仲卸業者の数は以下です。

名称 仲卸業者
豊洲市場 水産 488
青果 96
食肉市場 食肉 25(と場を含む)
大田市場 水産 39
青果 165
花き 18
豊島市場 青果 10
淀橋市場 青果 15
足立市場 水産 49
板橋市場 青果 10
花き 7
世田谷市場 青果 7
花き 6
北足立市場 青果 14
花き 9
多摩ニュータウン市場 青果 3
葛西市場 青果 9
花き 6
全市場計 水産 576
青果 329
食肉 25
花き 46

このように、仲卸業者は各卸売市場にたくさん存在し、主に生鮮食品の仕入れと販売をしています。

ちなみに、東京中央卸売市場で食肉を扱っている市場は食肉市場だけです。仲卸業者を利用する場合は、魚や野菜を仕入れるのに利用するのがよいでしょう。

仲卸業者は減少している

農林水産省の「卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化」によると、仲卸業者数は以下のように減少している。

  H16年度 H20年度 H24年度
青果 1,978 1,677 1,498
水産 2,889 2,536 2,193
食肉 91 80 79
花き 104 102 88

また、「中央卸売市場仲卸業者1業者当たりの仕入金額は、食肉は減少傾向が継続しているが、青果、水産物及び花きは概ね横ばい傾向で推移している」ということです。

このことから、市場全体での商品の取り扱い数は減少しており、それに伴って業者間で競争が起こり、生き残った業者はこれまでと変わらないだけの仕入れができていることがわかります。

仲卸業者を利用するメリット

仲卸業者を利用するメリット

仲卸業者が減少しながらも一定の数を保ちながら、業者ごとの利益が変わっていないという状況から、仲卸業者は利用者にとって一定のメリットがあるとわかります。仲卸業者のメリットとは、どのようなものなのでしょうか?

品質のよい商品を仕入れられる

飲食店が仲卸業者を利用する大きなメリットとして、「目利き」があります。

長年同じジャンルの商品を取り扱っていることで、仲卸には商品の良しあしを瞬時に判断できる「目利き力」が培われています。

仲卸業者を利用すれば、自分に知識がなく、目利きができなくても、より良い素材を仕入れることができるようになります。また、他にはない、旬の食材や珍しい食材なども仕入れることができます。

さらに、仲卸業者からその商品の良さについての知識なども解説してもらえるので、お客様に料理を提供するときに、より説得力のある説明ができるようになるでしょう。

天候や不漁に左右されない

飲食店では、食材がなければ料理を提供することはできません。しかし、実際には天候や不漁によって仕入れが滞ることがあります。

仲卸業者では、全国の産地とのネットワークがあるので、生産が少ない場所以外からしっかりと食材を確保することができます。仲買といって、仲卸業者同士で売買をすることでも食材を確保します。

このように、仲卸業者には食材を確実に集めるという役割があるのです。食材が命の飲食店にとっては、大きなメリットになります。

小ロットから仕入れられる

卸業者からは大量の食材を一度に仕入れることしかできず、小ロットで仕入れることはできません。仲卸業者は卸業者からたくさん仕入れ、それを小売業者に分配します。

仲卸業者のなかには、野菜ひとつ、魚の半身や1/4身で販売する仲卸業者もあり、かなり小ロットから仕入れることができます。お店のロスを減らすことができるのは大きなメリットです。

また、魚の場合には二枚卸や三枚卸の加工なども行ってもらえる業者もあるので、お店の仕込みの手間を減らすということもできます。

トレンドなどの情報を得られる

食材のプロである仲卸業者には、あらゆる食材の情報が集まります。

小売店が求めている食材を提供するために、情報に対してアンテナを張っているからこそ、飲食業界でトレンドになっている食材や新しい料理など最新の情報を仲卸業者は持っているのです。小売店や卸業者と密に会話をするからこそ、そういった情報が得られるともいえます。

だからこそ、仲卸業者からは新しい食材などの情報や提案をもらえるのです。食材を仕入れるだけでなく、このような情報を得られるのも大きなメリットです。

また、仲卸の他のメリットとしては、合わない生産者があったときには、簡単に他の業者を紹介してもらえる、というのも良いポイントです。

ここまで仲卸業者のメリットをみてきましたが、たくさんのメリットがあり、仲卸業者の必要性がわかっていただけたと思います。

仲卸業者を利用するデメリット

仲卸業者を利用するデメリット

仲卸業者を利用するときには、メリットだけでなく、もちろんデメリットもあります。

市場に左右される

仲卸業者で仕入れるためには、市場に足を運ばなくてはなりません。

市場が遠い場合には、わざわざいくのが大変ですし、市場が開いているのは朝早くなので早起きをしなくてはなりません。

また、市場は一般的に週に2日はお休みがあります。その日は食材を仕入れられないということになってしまいます。

このように、市場の都合に左右されるというのがデメリットといえます。もちろん、市場に足を運ばなくても、ネットや電話で注文し配送を行ってもらうこともできます。

入りづらい

あなたは、市場にどのようなイメージを持っていますか?こわもての職人が集まって、勢いよく競りをしているという印象ではないでしょうか?

たしかに市場で仲卸業者さんと話しをするのは、はじめは怖さがあるかもしれません。初めのハードルの高さが、仲卸業者のデメリットといえるでしょう。

ですが、実際に問い合わせて相談してみると、親身になって話してくれる人が多いです。まずは勇気をもって、飛び込んでみましょう。

確かに、仲卸業者にはデメリットもありますが、料理にこだわるお店こそ、仲卸業者を利用するメリットは大きいのではないでしょうか?ここからは、おすすめの仲卸業者をいくつか紹介します。

東京の仲卸業者

東京の仲卸業者

おすすめの東京の仲卸業者は以下です。WEBサイトを持っていて、実績がある会社を選定しています。

三秀

三秀は大田市場にある、1971年設立の青果仲卸です。

長年の実績と「商品の職人」と呼べる人材を育てる教育によって、青果物のプロフェッショナルとして目利きによって良い商品を仕入れ、品質をチェックしたうえで出荷してくれます。

商品が不足しているときにも商品を仕入れる努力を行ってくれます。「三秀に頼めば、何とかしてくれる」という評判の仲卸業者です。

食の安全に対しても真摯に取り組んでおり、中央卸売市場のSQM(セイフティ& クオリティ・マネージャー)委員に代表自ら参加しているので安心です。

所在地 〒143-0001 東京都大田区東海3-2-6 (東京都中央卸売市場 大田市場内)
設立 1971年10月27日
従業員数 93名(2018年11月)
売上高 113億円(2018年9月決算)
TEL 03-5492-3100

「三秀」の詳細はこちら

樋徳商店

樋徳商店は、豊洲市場にある鮮魚専門の仲卸業者です。

老舗の仲卸だからこその目利き力で、リーズナブルなものから高級な魚まで、要望の食材を用意してもらえます。それぞれの店舗に合わせた処理や加工を行ってもらえます。うろこ取りや切り身への加工など、要望に合わせて提供してもらえます。

鮮魚だけでなく、活魚や冷凍、加工品など、幅広い商品を取り扱っており、あらゆる飲食店で利用することができます。

さらに、柔軟に配送に対応しており、東京近隣エリアであれば、当日の2:00までの注文で当日配送をしてもらえます。

所在地 東京都江東区豊洲6-5-1 店番 3024〜26
設立 昭和39年11月16日
従業員数 9名
資本金 1000万円
TEL 03-6633-4109

「樋徳商店」の詳細はこちら

若松屋

若松屋は明治33年創業の、東京の大田市場にある鮮魚専門の仲卸です。

マグロの味にこだわっているだけでなく、鮮度のいい様々な鮮魚を取り揃えているので、あらゆるニーズに応えてくれます。

また、飲食店の希望に即した、こまめな対応を行ってくれます。小ロットでの配送や特定の曜日だけの配送など、自由度高く依頼ができます。

さらに真空パックでの配送にも対応しており、鮮度を保ったままで調理することができます。

所在地 〒143-0001 東京都大田区東海3-2-8(大田市場水産棟)
従業員数 8名
TEL 03-5492-6380

「若松屋」の詳細はこちら

まとめ

いかがでしたでしょうか?仲卸の意味や役割、規模などがわかっていただけたかと思います。

仲卸には、たしかにデメリットもあります。しかし、プロの仲卸だからこそできる目利きと仕入れ力は、ほかにはないものです。

お店で提供する料理のために特にこだわりたい食材などは、仲卸にお願いするのがよいといえるでしょう。

それ以外の食材の仕入れ方は、『飲食店の食材仕入れ先まとめ。代表的な業者も紹介します』で解説していますので、参考にしてください。

この記事の執筆者
CAROT運営事務局

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