飲食店とネット予約。どうやって始めるかと、無断キャンセルとの意外な関係
飲食店を予約して利用する。これは高級店でなくても一般的な利用法となりました。それを支えているのがネット予約です。
しかしその裏で、ノーショア、つまり無断キャンセルが増加するのではないかと危惧する店舗もあります。
ここでは、これまでネット予約をしていなかった店舗がどうやって始めればよいのかと、ネット予約と無断キャンセルの関係について考えていきます。
Contents
今や6割以上の店舗でネット予約が可能
ネット予約を受け入れている店舗は今や6割以上とも言われ、特に20代~40代をメインターゲットとする店舗では必須となっています。
一口にネット予約といっても、具体的な方法はさまざま。ホットペッパーグルメやぐるなびのように、ポータルサイトのシステムを使っているところもあれば、店のホームページからメールや LINE公式アカウント(LINE@)を使って予約を受け付けるところもあります。
飲食店では独自でホームページを持っていないところも多くあります。それでもネット予約ができることは必須なのです。
では、どのようにしてネット予約を実施しているのでしょうか?
ポータルサイトのシステムを使えば、すぐに始められる
最も身近なネット予約の方法は飲食店系ポータルサイトを活用する方法です。
例えば、ホットペッパーグルメやぐるなびなどの予約システムを使うには、有料会員になる必要があります。
金額は利用するシステムによって違うのですが、月額数万円から。ただし、予約ごとに費用がかかるケースもありますので注意が必要です。
予約の受付方法やその後の確認方法などは、各システムの担当者が詳細に教えてくれるので、ネットに詳しくなくても問題なく使えるのが最大のメリット。
パソコンがなくても、スマホのメール機能があれば確認もできるので気軽です。
他のサイトでもネット予約システムが使えるところがたくさんありますが、ポータルサイト自体に集客がない場合、予約も入ってきませんので、ある程度、名の通ったサイトを利用する方が無難かもしれません。
また、ブログやTwitter経由でメールアドレス、LINEアカウントなどを告知し、予約を受け付けているところも増えています。店独自の予約システムを使っているところも出てきています。
こちらは、スマホなどをまめにチェックする習慣がないと厳しい方法ですが、システム料などがかからないのが最大の魅力です。
「即予約」と「リクエスト予約」とは?
ところで、ネット予約と一口に言っても、大きく分けて二つの方法があるのをご存知でしょうか?
それが「即予約」と「リクエスト予約」です。
即予約のメリット・デメリット
即予約は、システムを使って予約をしたら、その場で予約が確定するというものです。
店舗にとっては予約までの手間が省けるのが魅力です。
しかし、貸し切りや特別営業により予約受付ができないよう日は、事前に登録しなければなりません。
電話で受け付ける予約と併用している店舗も多く、ダブルブッキングとなり、トラブルとなることが多いので注意が必要です。
また、店舗に予約が入ったらメールやFAXで確認するのですが、その確認が漏れており、予約ができていないケースもあります。
これはマイナス評価につながりますので注意が必要です。
中には複数のサイトで予約を受け付けているケースもありますが、トラブルの原因になります。
確認しきれないのであれば、一つのサイトに集約するべきなのかもしれません。
リクエスト予約のメリット・デメリット
リクエスト予約とは、ネットを使って予約を受け付けるものの、それはあくまでも仮予約。
その後、店舗で空席状況を確認の後、電話やメールでの返信することで正式な予約となるものです。
当初からシステムを使わず、メールやLINEを使って予約する場合も、リクエスト予約に入るでしょう。
この場合、予約時にお客とのやり取りが発生し、詳細な要望を聞くことができるため、細やかな対応が可能となります。
また、無断キャンセルも比較的起こりにくく、店舗としては安心ができる方法と言えるでしょう。
ただし、手間が増えるというデメリットもあります。タイミングよく予約を確定できなければキャンセルとなってしまいます。
また、仮予約後に連絡がつかず、予約を確定できないこともあります。
さらに、連絡がつかないからとキャンセルしても、お客は予約が完了していると思って来店し、トラブルになることもあるので注意が必要です。
無断キャンセルはネット予約に多いわけではない
ネット予約を始める際に聞こえてくるのは、「無断キャンセルが増えるのではないか」という声です。
これはあまりに大きい問題のため、2018年11月に経済産業省が「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」を発表したほどです。機会損失が大きく、社会問題ともなっていますね。
ただし、無断キャンセルが出るからネット予約を受け付けないというのは安易な発想かもしれません。
これについては株式会社TableCheckが2018年12月に行った「飲食店予約や無断キャンセルに関する意識調査」で面白い結果が出ています。
無断キャンセル経験者に、予約手段を聞いたところ、「グルメサイトのネット予約」が最も多い59.5%だったものの、2番目に多かったのは「電話予約」の42.7%でした。ここには17%ほどの差はあるのですが、そもそもネット予約の方が、電話予約よりも約13%多いので、その差はほとんどなかったのです。
この調査結果から言えるのは、無断キャンセル防止の対策として、ネット予約を受け付けないというのは有効ではないということ。無断キャンセルを最小に抑えたいのであれば、何らかの他の対策が必要だということでした。
そういえば、筆者が銀座で有名な格安イタリアンに予約を入れた時、ランチ予約だったのですが、予約時・前日・当日の午前中とうるさいほどに確認の電話がかかってきました。
当事者としては、「ネット予約をした意味がない」と思いましたが、足を運んでみると広い店内で空席はゼロ。
それぐらいの徹底した対策がチャンスロスを発生させない状態を作っているのかもしれません。
無断キャンセルした理由が切ない…
ちなみにこの調査では、無断キャンセルをした理由も聞いています。その結果は以下。
- 1位 とりあえず場所確保で予約した 37.4%
- 2位 予約していたことをうっかり忘れていた 37.4%
- 3位 複数の飲食店を同時に予約していた 33.6%
- 4位 人気店でとりあえず予約しておいた 28.2%
店舗としては、とりあえず予約であってもしかるべき時期にキャンセルをしてくれればそれでいいわけですが、そのまま忘れていたとか、最初からキャンセルありきで予約されたのでは話になりませんよね。
まとめ
ポータルサイトでも「ネット予約ができる店特集」が組まれるほど、今やネット予約は飲食店にとってかかせないものとなりました。
ネット予約ができることによるメリットは大きく、来店客増加を考えれば無視できないものと言えるでしょう。
ネット予約は無断キャンセルが多いというのは大きな誤解。電話予約でも変わらぬ数値が出ています。
これとは別の対策として取り組み、お客に無断キャンセルさせない店舗づくりが必要なのかもしれません。
キャロットは飲食店や食品事業者様を対象にコンサルティング支援を行っております。事業の企画段階からメンバーとして参画、その後の成長までお手伝いすることができます。